日本人の7割は腸壁に穴が開き、さまざまな病気の原因になっているといわれます。前回に引き続き、栄養療法の佐藤章夫先生に腸壁への菌や抗生物質の影響についてうかがいました。
── 現代人が健康を害するのは、よく噛まないで食べて、胃酸の出も悪いからということでした。直接、未消化の食べ物が腸に行くと、腸壁が炎症して穴が開き(リーキーガット)、それが、病気の真因と考えられるようになっています。リーキーガット(腸に穴が開く)になるのは、未消化の食べ物以外にも原因があるようですね。
佐藤:「食べ物だけでなく、ウイルスや細菌、抗生物質、重金属、化学物質などが慢性的に腸壁に付着すると、ぽっかり穴が開いてしまいます。」
── 菌というのはどのように影響するのでしょう?
佐藤:「主にカンジダ菌ですが、成人は体内に保有しています。乳酸菌によって繁殖が抑えられていますから、通常は十分な活動をしていません。ところが、腸の中で乳酸菌が十分に繁殖していないような場合には、カンジダ菌、イースト菌、ウエルシュ菌は活躍の場を広げて、横行結腸から胃まで上ってきてしまうことがあるんです。
なぜ、そのようなことが起こるかというと、これもリーキーガット(腸に穴が開く)が原因なのです。
本来、腸壁を守るのは乳酸菌です。乳酸菌のエサとなるのは、十分に消化分解された食べ物のみで、たとえば、炭水化物から分解されたオリゴ糖などです。未消化の食べ物しか降りてこなければ、未消化の食べ物にはオリゴ糖が含まれていませんから、乳酸菌のエサにならず、そこでは繁殖もできないわけです。
ところが、カンジダ菌は、未消化の食べ物が大好物なんですね。それに加えて、乳酸菌が繁殖できない腸では、腸が守られずに、腸粘膜のムコ多糖類がそのままカンジダ菌のエサとなるので、カンジダ菌は腸壁をどんどん食い荒らし始めるわけです。これが、未消化の食べ物によりカンジダ菌が増えて、リーキーガット(腸に穴が開く)になる理由です。」
── ストレスも関係すると言われますが。
佐藤:「ストレスによって「グルカゴン」や「インスリン」といったホルモンだけでなく、すい臓がダメージを受けて、消化酵素の「トリプシン」を十分に分泌できなくなります。それによって、食べ物が十分に分解できなくなり、慢性的に未消化な食べ物が腸まで運ばれることになりますね。」
── ストレスによって、消化が不十分となって、リーキーガット(腸に穴が開く)
を作ってしまうのですね。
── 抗生物質は腸壁を守る乳酸菌も無差別に殺してしまう、と聞いたことがありますが。
佐藤:「昔は、細菌感染が疑われた場合には、必ず便の検査をして、何の菌かを特定したうえで、抗生物質を出していました。口から抗生物質を飲ませるということはまずなくて、静脈注射で抗生物質を入れたんですね。これなら、抗生物質が直接、腸に影響を与えることはありません。
ところが、今の抗生物質は、ブロードバンドといって、ほとんどの細菌に対して効果があるように作られています。当然、人間の身体に有益な乳酸菌すらも殺してしまう効力を持っているわけです。喉が腫れた、咳き込んだ、熱があるというと、ウイルスには抗生物質が効かないのを知っていて、ぼんぼん抗生物質が出されます。
抗生物質を飲むと、腸では乳酸菌が死滅して、腸が守られなくなり、リーキーガット(腸に穴が開く)が起きてくるわけです。」
── 栄養療法により先生と共同開発した「LGS」サプリメントには、カンジダ菌抑制の成分と腸環境を整える乳酸菌が豊富に含まれていますね。
佐藤:「ええ、カンジダ菌の繁殖を抑制する成分や、細菌、真菌による炎症を抑える作用を持った成分ですね。
それから、「LGS」サプリメントの乳酸菌は、ラクトバジルスが1平方あたり、10億個入っています。1カプセルあたり、5億ぐらいの乳酸菌になります。それから、直接、乳酸菌のエサになるオリゴ糖も入っています。新バイオティックスという発想から、乳酸菌と乳酸菌のエサとなるものを一緒に入れています。」
── だいたいどのくらいで腸は修復されていきますか?
佐藤:「そうですね、「ながら食い」をせず、良く噛んで食べて、「LGS」サプリメントをきちんと飲んでいただければ、1ヵ月くらいで、十分にもとに戻ってくる可能性はあります。抗生物質を飲んでいた場合には、3ヵ月以内ですと、「LGS」サプリメントを飲みはじめて、リーキーガット(腸に穴が開く)が戻るまでに、3、4ヵ月はかかるでしょう。」
── 腸の健康を考える「LGS」サプリメントの飲用体験談が寄せられています。腸を守ることが、病気の快復と健康につながることを、これからもお伝えしていきたいと思っています。
佐藤 章夫 さとうあきお
医学博士(米国)米国臨床栄養士 ホリスティック栄養士 ハーブ処方師
1958年神奈川県生まれ。ブリティッシュ・コロンビア大学、ナショナル・ヒーリング・カレッジを経て、栄養療法実践医師Dr.ジョナサン・ライトに師事。正しい知識に基づく、最適最良の健康づくりの啓蒙・普及活動と、素材の産地、成分を明確にしたサプリメントの処方デザインに従事している。朝日新聞、日本経済新聞、日経ヘルス他寄稿多数
|